セロトニンの働き

セロトニンは、私たちの感情の安定に大きな影響を与える神経伝達物質で、リラックス、安心感、幸福感などをもたらすことから、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
このセロトニンが不足すると、慢性的ストレス、イライラ感、向上心の低下、意欲低下、うつ症状、不眠といった様々な症状が現れるようになります。
うつ病は、脳のセロトニンが欠乏することが一因と考えられており、実際にセロトニンを増やす作用をもつSSRI(選択的セトロニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤が効果を示しています。
また、その他、パニック障害や社会不安障害、強迫性障害などもセロトニンの異常が一因だと考えられており、うつ病と同じくセロトニンを増やす抗うつ剤が効果を示すことがわかっています。
さらに、近年、セロトニンの低下の原因に女性ホルモンの分泌の減少が関係していることが判明し、なんと更年期障害との関わりがあることも知られるようになりました。
セロトニンの合成と栄養素の関係

セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンから合成され、脳内の視床下部や大脳基底核・延髄の縫線核などに高濃度で分布しています。
また、セロトニンの合成には、トリプトファンだけでなく、補酵素として、ビタミンB6、葉酸・ナイアシン、鉄などの栄養素も同時に必要となります。

ここからは、セロトニンの合成に必要な栄養素を効率よく摂取できる食品を紹介していきます。
① トリプトファンを多く含む食品
セロトニンの材料となるトリプトファンは、必須アミノ酸であるため、体内では合成できません。
食品中に含まれるトリプトファン量は、タンパク質量の約1%といわれているため、良質なタンパク質を食事からしっかり摂取する必要があります。
トリプトファンを多く含む食材は、カツオやマグロ、牛乳やチーズなどの乳製品、納豆や豆腐などの大豆製品、卵、ナッツ類やバナナなどがあります。

タンパク質の重要性については他の記事で繰り返しお伝えしていますので言わずもがなですが、それに加えて、卵と納豆を毎日摂取することを習慣にすることをオススメします!


② ビタミンB6を多く含む食品
ビタミンB6は、赤身の魚(カツオ、マグロ)、豚のヒレ肉や鶏のささみなどの脂質の少ない肉類に含まれています。
含有量は魚類や肉類には劣りますが、植物性の食品にも含まれており、バナナ、パプリカ、サツマイモ、玄米などが代表食品です。

③ 葉酸・ナイアシンを多く含む食品
ナイアシンは、たらこ、マグロやサバなどの魚類、鶏の胸肉・ささみなどの肉類に豊富に含まれており、葉酸は、鶏レバー、菜の花、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなどに含まれています。
※ビタミンB6、葉酸、ナイアシンは、ビタミンB群と呼ばれるグループに属しており、ドラッグストアに行けば、ビタミンB群のサプリが手軽に購入できます。食事からの摂取に加えてサプリから摂取することもオススメです。
④ 鉄を多く含む食品
鉄は、動物性のヘム鉄と植物性の非ヘム鉄がありますが、吸収率の高いヘム鉄が断然オススメです(非ヘム鉄の4〜5倍)。ヘム鉄は、豚・鶏・牛のレバーや赤身部位に豊富に含まれています。
まとめ
みなさんは、日々の食事で上記の食品(栄養素)をしっかり食べることができていましたか?
「あまり食べれてなかったかも‥」という方も焦る必要はありませんので、まずは、普段の食事で自分が何を食べているのか意識することから始めてみてください。
最後にもう一度、セロトニンの合成に必要な4つの栄養素をまとめておきます。
- トリプトファン
- ビタミンB6
- 葉酸・ナイアシン
- 鉄
ここまで読んでいただくと、セロトニンが脳内に存在しているように思われたかもしれませんが、実は、体内のセロトニンの約9割は消化器官に存在しています。
腸は、「第2の脳」ともいわれていて、精神状態と大きな関係があるため、下痢や便秘などが慢性化している人はメンタルにも問題が表れやすく、過敏性腸症候群の人の8割は、不安やうつの症状を有しているといわれているんですね。
「そういえば最近、腸の調子があまり良くないなぁ‥」と思った方がいらっしゃいましたら、ぜひ下の記事も併せて読んでみてください。
