食卓心理学

心の病気を招く食習慣【質的栄養失調】

質的栄養失調とは?

栄養素は量より質で考える!

近年、心の病気の原因の一つに「質的栄養失調」があることがわかってきました。

栄養というのは「たくさん食べれば満たされる」というものではありません。どんなにしっかり食べているつもりでも、必要な栄養を摂取できていなければ栄養失調になってしまいます。

食べる量が足りずに生じる栄養失調を「量的栄養失調」とすれば、必要な栄養が不足していて心身に不調が生じるのは「質的栄養失調」といえるでしょう。「普通に3食バランスよく食べている」という方の中にも、知らず知らずのうちに質的栄養失調に陥り、心身の体調を崩している方が少なくありません。

心の健康に必要な栄養素

1番に意識するのはタンパク質!

健康な脳は、幸せを感じさせるセロトニンと喜びを感じさせるドーパミンという神経伝達物質で満たされており、それらの神経伝達物質を生成するためには「タンパク質」「鉄」が必須であることを紹介しました。

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タンパク質が不足すると、脳内の神経細胞の間で行われる情報伝達が困難になり、心を穏やかに保つことができなくなります。

また、鉄不足も心の状態に影響します。鉄もセロトニンやドーパミンが生成される際に必須であり、月経や出産により大幅な鉄不足に陥った女性が、うつ病やパニック障害を発症するケースが少なくありません。

うつをはじめとする心の不調を訴える方の食事内容を調べると栄養素の不足、特にタンパク質が不足していることが多いです。

欧米人は、日本人の約3倍の量の肉を食べているため、タンパク質不足はあまり問題になりません。これに対し「バランスが良い」とされている日本食は、摂取している肉の量が少なすぎるため、心の健康が十分に保てるタンパク質の量にとても追いついていません。

不足しがちなビタミン・ミネラル

タンパク質に限らず、鉄分などのミネラルやビタミンも現代的な生活の中では、意識して摂取しなければ、すぐに不足してしまうのが実情です。

バランスを考えて食べている人でさえ、質的栄養失調に陥ることが少なくないことから偏った食生活になっている方はなおさらです。

皆さんの中には、ご飯やパン、麺類などが食生活の中心になっている方も少なくことでしょう。おにぎりやパン、カップラーメンなどは一般に安価ですし、手軽にお腹を満たすことができます。

しかし、こうした糖質だらけの食事が続くと、タンパク質ビタミンミネラル全般が不足してしまいます。このような生活習慣が続くと、質的栄養失調がより深刻になります。

このような質的栄養失調の状態が続くと‥

「どうも最近、気分が沈んだままの状態が続いている‥」

「些細なことに気になって、イライラする‥」

「朝起きても身体がダルく、疲れが抜けない‥」

「急に不安になり、落ち着かなくなる‥」

といった症状が出てきます。こういった症状が普段の日常生活に支障を来すようになると「うつ病」や「パニック障害」とった心の病気の診断がなされます。

薬だけでは病気は治らない

心の病気を患った際、医師の診察や投薬、カウンセリングなどの治療を用いながら「寛解(病気の症状がほとんどなくなったものの、完全に治癒したわけではない状態)」を目指すことが一般的になります。

しかし、私は、身体の栄養が空っぽの状態で投薬やカウンセリングを受けても十分な効果は得られないと考えています。

もちろん「今とてもつらい」という状況から脱するために、診察や投薬やカウンセリングは必要ですし、根本的な原因を取り除いていくために、専門家の指示に従うことはとても重要なことです。

私が、ここでお伝えしたいことは、「栄養が満たされることで全てが解決する」ということではなく、心身ともに本当の健康を取り戻すためには、食事(栄養)の面からのアプローチも大切になるということです。

不調がある方は、健康な状態を目指すため、病気の療養途中にある方は、あるいはカウンセリングの効果や投薬の効果を最大限活かすために、普段の食事(栄養)から心身の基盤を作っていきましょう!。

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