教育

いじめについて考える③ いじめはなぜ起きるのか?

自己肯定感と自己有用感

人には、「他人より優位に立ちたい‥」「仲間から孤立したくない‥」といった意識が少なからずあります。

そのような意識があるので、人は、自分より弱く見える者や少数者に対して、何らかの害を与えることで、自分を優位に立たせるためにいじめを行う。つまり、いじめは人としての性(さが)であり、業(ごう)であるという考え方があります。

確かに人は、そのような側面があることは否定できないです。しかし、いじめ問題を、人としての性・業であるとして、簡単に片付けることはできないように思います。

たとえば、少年の非行事件をみてみると、得てして犯罪を行う少年は、自己イメージが低いという傾向があります。

それはつまり、自己肯定感(自分が大切な存在であるとの意識)自己有用感(誰かの役になっているとの意識)が低いということです。

自分の存在価値を自分自身で感じることができないことから、何でもいいので自分の存在をアピールしたいということで、簡単に人目を惹きつける事のできる「非行」「犯罪」を行うのです。

また、大人の世界でのパワハラ、セクハラなどのハラスメント事件において、ハラスメントの加害者が行った言動をつぶさに観察してみると、同じように自己肯定感や自己有用感が低い人であるように思います。

自己肯定感や自己有用感が高ければ、何も他人の人権を侵害するよううなハラスメント行為をする必要はないし、そのようなハラスメント行為は、自分の品格、人権を否定すること、つまり、自分の幸せになる権利を放棄していることにもなる。

このように考えていくと、ハラスメント行為やいじめ行為の背景には、「自己肯定感」「自己有用感」の不足があると考えることもできると思います。

いじめを考える①で触れましたが、多くの子どもたちがいじめ加害・被害に関わりを持っているという現状を考えると、今の日本社会は、自己肯定感を育みにくい環境にあると言えるのではないでしょうか。

多様性を許容する

さらに、いじめの中には、自分と違う考え方を持つ人自分と違う生き方をする人に対して、その人の考え方を否定して、自己の存在や正しさをアピールするといった性質を持ったものがあります。

自分と違っていることを認めることができないということが差別を生み、そういった差別がいじめという性質を持って他者を排除することにつながるのではないでしょうか。

自分と異なった者を認められないということ、それはつまり、多様性を許容することができないということであり、いじめが起こる要因を考える上で、この多様性の問題も忘れてはならないと思います。

金子みすずさんの詩に「わたしと小鳥と鈴と」という有名な作品があります。小学校の授業でも教材として用いられますが、詩の中の「みんなちがって、みんないい」というフレーズは皆さんもご存知かと思います。

詩の解釈は読み手によって様々あると思いますが、私はこの詩を読んで「地球上のすべてのものは命のある・なしに関わらず、尊い存在(優劣はつけられないもの)である」という解釈をしました。

多様性や個性の尊重を謳う際に、この「みんなちがって、みんないい」というフレーズが使われることが多いように思いますが、「すべてのものを尊重するなんて理想論だ!」と言ってしまえば、そこで終わってしまいますし、ややもすれば「“私の”個性」の部分が過度に強調されるところもあるかと思います。

日常生活を送っていれば、子どもにせよ大人にせよ、相手の悪いところに目がいってしまったり、相手が言うことに拒絶的に反応してしまったり、攻撃したいという気持ちに駆られたりすることがあります。

そのような状況に陥ったときに、一瞬立ち止まって、

  • どうしてこの人はこういう風に考えたんだろう?
  • そういう意見もあるんだな‥
  • 他の方法で解決することはできないかな‥

などと考えることができたらいいなと思います。

そこで「多様性を許容することは容易ではない」ということを前提に持ち、その上で「みんなちがって、みんないい」というフレーズを心に留めて置く、意識しておくことで、「一瞬立ち止まる」ことができる機会が増えるのではないかと私は考えています。

いじめが、子どもたちの身近に潜んでいて、「いつでも」「どこでも」「だれにでも」起こりうることを①でもお伝えしました。

「喉元過ぎれば、熱さを忘れる」という格言がありますが、大人にせよ子どもにせよ「いじめはなぜいけないのか」「いじめはなぜ起きるのか」という部分について考える機会を増やし、自身の言動の確認しながら日々を過ごすことが、いじめの予防や未然防止に繋がってくると私は思います。

子どもも周囲の大人も「目に見える違い」から「目に見えない違い」までを受容できる力を養うことを目指したいですね。

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