腸内環境の乱れは心の乱れ

これまで、血糖値の乱高下やミネラル不足が私たちの日々のメンタルヘルスに影響を与えることに触れてきましたが、この記事では腸内環境と心の状態との関係性と腸内環境を整えるために必要な栄養素についてお伝えしていきたいと思います。
腸は「第二の脳」
私たちの生命活動には神経伝達物質が欠かせません。40種類以上の神経伝達物質が腸内で合成されていることから、腸は「第2の脳」とも呼ばれています。
その中でも特にセロトニンという神経伝達物質が、精神の安定に大きく関わっていますが、このセロトニンは、リラックス、安心感、幸福感などをもたらすため、別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、私たちの生活に必要不可欠なものなんです。
そして、このセロトニンの80〜95%が、なんと腸内細菌によって作られています。
そのため、下痢や便秘などが慢性化している人はメンタルにも問題が表れやすく、過敏性腸症候群の人の8割は不安やうつの症状を有しているといわれています。
腸内環境の仕組み

腸内には、大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類が生息しています。
近年、この善玉菌と悪玉菌のバランスによって、疾病だけでなく、思考や心の状態、そして寿命までも決めている可能性があることが指摘されています。
言葉から来るイメージ通り、善玉菌が優位の状態を保つと、身体も心も健やかな状態が保たれます。
悪玉菌は、偏った食生活やストレス、飲酒、加齢などによって増えることがわかっており、減少させるには食物繊維や善玉菌を増やす細菌を補うことが必要です。
日和見菌とは、その名の通り、体調の良いときはおとなしく、体調が悪くなると悪い働きをし始めます。善玉菌と悪玉菌、その時々の優勢な方の味方をするのが特徴です。
鍵となるのは食物繊維!

そして、これらの腸内細菌を理想的なバランスに保つために欠かせないのが、食物繊維です。腸内細菌叢(腸内フローラ)を整えるには、食物繊維が鍵になります。
また、食物繊維が、腸内細菌のバランスを整えることで、さまざまなビタミンが作り出されることも明らかになっています。
1日に摂取したい食物繊維の目安は、男性20g、女性18g以上ですが、厚生労働省が行った国民栄養調査によると、30代40代の世代では推奨されている量の6割程度の量しか摂れていないことがわかりました。
食物繊維が含まれる食材

食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性食物繊維には、食後の血糖上昇抑制作用があり、不溶性食物繊維には、排便促進効果や有害物質の排泄促進作用があるため、両方をバランスよく摂取することも大切になります。
そして、食物繊維を多く含むものといえば、
納豆やオクラなどのネバネバ系食材、野菜や海藻類、きのこ類です。
これらの食材はメイン料理にはなりにくいですが、一品料理として食卓に並べることができるので、これらの食材から積極的に食物繊維を摂取していただきたいです。
ネバネバ系食材:
ネバネバ系食材には、オクラ、モロヘイヤ、長芋、納豆などがあります。ネバネバの正体は、ペクチンという食物繊維とムチンという糖タンパク質で、便秘防止、コレステロールの吸収防止、疲労回復などの効果が期待されます。
きのこ類:
きのこ類に含まれる多糖類の「キノコキトサン」が、余分な志望の吸収にも役立つため全般的にオススメです。また、まいたけに含まれる多糖類の一種「αグルカン」には血糖値の降下作用があります。
海藻類:
海藻類の中では昆布がオススメです。昆布は総重量のなんと6割が食物繊維であるという日本が誇る腸活食材です。*ただし、摂り過ぎは甲状腺の働きを低下させるので注意が必要
野菜:
野菜類の中では、糖質の少ないほうれん草、キャベツなどの葉物野菜がオススメです。一方で、さつまいもやじゃがいもなどの根菜類は糖質も多く含むため、食べ過ぎには注意しましょう。また、切り干し大根も非常にオススメの食材です。切り干し大根は、不溶性の食物繊維の宝庫でありながら、さらに天日干しすることで、カルシウム、ビタミンB群、鉄分もパワーアップしています。
オススメの食材と食べ方の工夫
外食が続くと、どうしても不足しやすくなるうえ、調理に時間や手間がかかるため、自炊する時のハードルが高くなりがちですよね。
しかし、食物繊維は、ビタミンのように時間経過でその量を減らすことがない栄養素なので、きのこ類などを使って、週末にまとめて作り置きしておくなどの工夫ができます。
毎食、葉物野菜や海藻、きのこ類のどれかが、食事メニューに入ることが理想ですが、毎食というのはむずかしいですよね。

そこで毎日手軽に食物繊維を摂取するために、納豆を食べることを日課にすることをオススメしています。納豆には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらもが豊富に含まれており、腸内細菌を整えるほか、様々な効用があるため下記で紹介しておきます。

ちなみに私は、昼食には、きのこ類や葉物野菜を意識して摂取するようにし、夕食に、納豆1パックにレンジでチンしたオクラ(冷凍)やめかぶ(海藻類)を混ぜて食べることを日課にしています。
納豆が苦手という方には、手軽に豊富な食物繊維が摂れる食品として「オートミール」を推奨しています。腹持ちがよく主食(ご飯やパン)の代わりにもなるため、体型の維持やダイエットにも効果的な食品です。
最近では、オートミールを美味しく食べる方法が、ネットやSNSでたくさん紹介されているので、色々試しながら自分にあった食べ方を発見してみてください。
みなさんも、腸内環境を整えることを意識して、心身ともに元気に活動しましょう!